神様になった日 アニメレビュー

グラフィックとアニメーション

スタジオP.A.ワークスは、非常に質の高いビジュアル部門を作り上げた。アニメーションは流麗でディテールに富み、特に背景は鮮やかで非常にカラフルだ。キャラクターの表情は整っており、アニメの印象を悪くするような顔の変化の様々なエピソードに特に矛盾はない。色彩はシーンごとに変化し、視聴者をそのシーンに没入させる。

歴史の深さ

この作品の長所は、喜びと快活さの瞬間を交互に見せながら、深い内省へと導くことにある。冒頭は、かなり穏やかで非常に軽い物語であるかのように錯覚させ、見る者自身を欺くかもしれないが、喪失の恐怖、絆の意味、自分自身のもろさの受容といった重要なテーマを示すことで、なんとか挽回し、空間を作ることに成功している。

価値とメッセージ

このアニメの最も重要で美しいメッセージのひとつは、障害に対する認識についての考察である。このアニメは、ヒナのキャラクターを通してこのテーマを構築している。冒頭、彼女は活力にあふれ、風変わりな性格の少女として登場し、彼女に何らかの障害があるとは考えられないほどだ。しかし、アニメの後半で彼女の病状が明らかになると、その姿はまったく変わっていないことがわかる。彼女の本質、性格、そして夢は変わらない。

この作品は、障害がしばしば、個人を分離したり「違う」存在にしたりする要素として社会に受け止められていることを浮き彫りにしている。ヒナの旅を通して、このアニメは、社会的な先入観がなければ、障害を持つ人は他の人と同じ一人の人間として見られることを示す。

この「普通のヒナ」と「障害のあるヒナ」の直接的な比較は、私たちが作り出している障壁がいかに人為的なものであるかを考えさせ、外見にとらわれず、ありのままの人を見るよう私たちを誘う。これは、私たちの社会ではまだほとんど理解されていないテーマに対する認識を高めることを目的とした深いメッセージである。

オープニングとエンディング

それぞれの作品に対する理解は主観的なものなので、個人的な見解を示す。

しかし、何度か聴いているうちに、エンディング（さよなら七つの海）よりも特に好きになり、同じように美しく構成されたエンディング（さよなら七つの海）よりも好きになった、 逆に、最終回のエンディング（たからものになった日）は、美しいとしか言いようがないが、それを作るために、陽太をイザナミに感動させるために、ヒナがピアノで曲を作らなければならなかったエピソードの曲と同じメロディーの構成が使われ、歌詞が追加されている。オープニングもエンディングも、アーティスティック・ビジュアル・レベルで緻密に作られている。オープニングでは、陽太と比奈が友人たちと過ごした夏の日々を映し出すことで、物語の楽しくて思い出深い部分を視覚的に描き、エンディングでは、比奈のプロセッサ・アルゴリズムが、ある状況を予測するための仮説計算やシミュレーション・シナリオをさまよう様子を映し出す。

詳細が不明確な質問

1. 陽菜は本当に''女神''なのか？

アニメの前半では、陽菜は全知全能の神であると主張しているが、物語が進むにつれて、彼女の「全知全能」は高度なコンピューターシステムから得られる無限の情報へのアクセスによるものであることがわかる。このことは、日菜が本当に自分を女神だと認識しているのか、それとも彼女の態度は自分の境遇への自覚を覆い隠すためのものなのか、という問いを提起する。おそらく「オーディン」という役割は、現実逃避、つまり30日間を軽やかに有意義に生きるための方法を表しているのだろう。

2. エンディング：希望か、それとも憂鬱か？

アニメの結末は意図的に曖昧にされている。陽太が陽菜のそばにいるにもかかわらず、陽菜が完全に回復するのか、それとも限界のある人生を歩むのかは不明である。この結末は、「どう生きるか」と「どうあるべきか」のどちらが重要なのかという内省を促す。おそらくこのアニメが強調したいのは、本当の幸せとは、どんな困難があろうとも、愛する人と共に一瞬一瞬を生きることなのだ、ということだろう。

3. なぜ陽菜は陽太に近づこうとするのか？

陽菜が幸せにしてくれる人と最期を迎えたいのは明らかだが、なぜ陽太を選んだのか。祖父は陽菜に、自分がいなくなったら陽太の家に行くように言った。ただ適当に選んだのか、それとも陽菜は彼の中に特別なものを見たのか。

4. 空監督が陽太と陽菜の力を借りて作りたかった映画の意味とは？

映画の制作は当初、空クラブのプロジェクトだったが、より深い役割を担うようになった。それは、陽菜が自分の障害を発見した後でも、足跡を残したい、記憶の遺産を残したいという願望を表しているのかもしれない。弱さや困難ではなく、喜びや充実感を味わった瞬間を。

5. 陽菜の全知全能はどれほど本物なのか？

陽菜の 「予言 」がコンピューター・システムによるものだとわかっても、すべてが明らかになったわけではない。なぜ彼女はこれほど正確に未来の出来事を予測できるのか？高度な統計的計算の結果なのか、それとも他の人には見えないものを見抜く彼女の能力には本当に神の要素があるのか。おそらくこのアニメは、どのような形であれ、知識は贈り物であると同時に重荷にもなりうることを強調するために、この曖昧さを利用しているのだろう。

最終評価

アニメ『神様になった日』は間違いなく芸術作品だ。伝えたいメッセージ、ドラマチックな構成要素、プロットに対する突然の認識の変化など、この作品を実にユニークなものにしており、同じ前田純が手がけた他の作品とは一線を画している。個人的には、このアニメは私をスクリーンに釘付けにし、泣かせさえした。そのため、私の評価は10点満点中9点という美しいものでしかない。